Gospel (ゴスペル)

第80号 (2003年5月)より

鯉幟と母の日
リンカーンの母

木谷信三

美しい新緑の五月五日の青空に、今年も、また 鯉幟(こいのぼり)の雄姿が目に映えてきます。
こどもの日!です。
鯉の滝のぽりは、立身出世のたとえにされて、 江戸時代の中頃から立て始められたそうです。 この「こどもの日」のある五月に、「母の日」も あることは、何とうるわしいことでしょう。 第二日曜日で、今年は五月十一日です。

親からもらった家宝だよ

こどもの日の外飾り、「雌のぽり」は親の子供への苦難を 乗り越えての立身出世の気持は、よくわかりますが、 そこに何か大切なものを見落としてはいないかと思うのです。 その何か、……です。

リンカーンが九歳の時、彼の母は死にました。死が近づく、 母は彼を枕辺に呼び寄せました。そして大事そうに一冊の 本を取り出しました。それは聖書でした。
「エプよ。これは私が親からもらって何べんも読んだ 家宝だよ。私は百工ーカーの土地を残すよリも、 この本を残すのを誇りに思っている。あなたがこの本を 読んでその教えを守るなら、お前が大地主になるよりも うれしいことだ」と言って息をひきとりました。

全生涯から離れない母の祈り

彼は正義と博愛に燃え、奴隷解放を訴え、一八六一年、 五十一歳でアメリカ第十六代大統領になりました。 南北戦争が北軍の勝利となり、奴隷解放は実現しました。 また「人民の、人民による、人民のための政府」を たて上げる、その志半ぱに凶弾で殉死しました。けれども、 彼は今なお、私たちのうちに生きています。
貧しい家庭の中にあって、彼の母は聡明(そうめい)で、 信仰心あつい人でした。後年、リンカーンは言っています。 「私は母の幾度かの祈りを記憶する。それらは私の全生涯に 結びついて決して離れない」

あなたがたの間で偉い人

父は無責任でのんべいでした。けれども母はしっかりと リンカーンを、神さまの言葉である聖書によって養い育て、 子供たちのために真剣に祈らたのです。
まことに、彼を偉大にしたものは、母の祈りと聖書の 言葉でした。
救い主、イエスさまは、「あなたがたの間で偉くなりたい と思う者は、みなに仕える者になりなさい。……人の先に 立ちたいと思う者は、みなのしもべになりなさい」と 言われ、そして、「人の子が来たのも、仕えられるため ではなく、かえって仕えるためであり、また、多くの人の ための厭いの代価として、自分のいのちを与えるためなの です」と。
まことに世の人に仕え、そのしもべたり得てこそ、真に 偉い立身出世では−−




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